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長塚圭史が観たくなったので。

演出作品はぽろぽろ観てたりしたけど、役者メインの長塚圭史を観るのは久しぶり。
6~7年ぶり、かな。
まだ堺雅人が早稲田の劇研アトリエで東京オレンジの公演打ってた頃。
オレンジ好きの友人達と4人くらいで、オレンジの役者が客演してた 阿佐ヶ谷スパイダースの作品を観に行った。その時ぶり。

長塚さんと、スパイダースの伊達暁さん、奥菜恵。
3人だけで2時間出ずっぱり、しかも死角と逃げ場なしの360度客が入ってる円形劇場。
防空壕に閉じ込められた3人を描く、芝居をやる。鈴木勝秀演出で。

スズカツ演出の妙を見た気が。

舞台は終戦直後の混乱期。
収賄事件で政府に追われる闇ブローカー(伊達)とその愛人(奥菜)と、 兵役中に防空壕を掘らされたんだと語る生きることに絶望した男(長塚)の3人の言葉は、 相手に向かっての会話のはずなのにまるで独白のように、自問自答のように聞こえて。
コミュニケーションとして絡み合っているようで透過していて、交じり合うように見えてどこか遠い。
もちろん、劇中で彼らが使う昭和20年代の日本語は今から比べると 随分「言葉」として距離を感じさせる。

5分10分、1人ただひたすら喋り続けることがあったかと思えば、 平気で20分くらい喋らず「何もしないで」(=何もしない演技をして)いなければならない。

最低限の明るさ、最低限の音響、最低限の小道具。
相当のものを役者に要求し、同時に観る側にも何か覚悟めいたものを要求する舞台。

すっごいソリッドゆーか、タイトな印象。今いるこの空間だけ、空気の密度が違うような。
舞台をぐるりと囲む観客は防空壕の中、胎内を息を潜めて見守るコロス的存在にも感じられる。

面白かった。平たい言葉で表現すれば。

どこにも、もう出られない「中」で生の素晴らしさと愛しさを謳う長塚、 元の生活に戻ったら今度はもっと真っ当な生活をするんだと心に誓う奥菜と、 虚ろに、それまでの価値観の全てだった多額の札束を繰り返し繰り返し数える伊達。

出られないまま、その先も見えないまま、見せてくれないまま。
寄り添う3人だけを照らすギリギリまで抑えられたピンスポットが、 最後の蝋燭の火が絶える様にふっと消えて終劇。

ひと呼吸ふた呼吸、闇の中に取り残される。


劇場を出ると空は曇天で、薄ら寒くて、彩度の無い現実が広がってて。
太陽が見たかったな、と日の光を浴びて、暖かさを感じて、現実の世界に戻りたかったなー、と。
かなり強烈に思ったくらいには舞台の世界に引き込まれていて。
渋谷の駅の方に向かう足元の、不確かなことったらなかった。

奥菜。
美人ゆーか、凄いねこの人。本気で顔のほとんどが目ですよ。
昭和モダンなショートボブに真っ赤な口紅。白いブラウスに形のきれいな臙脂のスカート。
雰囲気がぴったりでとっても良かった。
伊達さんに伸し掛かられて服やら髪やら濡らしながら抵抗してパンツまで見えたりしてたけど足はもうちょっと細い方が私は好きだ。

ダイナ伊達さん。
えと、ダイナ顔。ダイナちゃんをちゃんと男ぽい顔にした感じ。こんな感じに近い→
もちろんココまで彫り深くぱっきりしてないけど。
あんまり背は高くないね。
長塚さんと並んで立つと頭身的にちょっと厳しいな(苦笑)。
力のある演技をする人、という印象。カラダに力がある。
長塚さんとはとっても対照的なイメージを見る側にもたせる人なんだけど、そーゆー伊達さんと長塚さんが高校の同級生で、その頃から相変わらずずっとつるんでて、てのがちょっと面白いな、と思う。
大学は長塚さん早稲田で伊達さん慶應ですって。
二人早慶戦。

長塚さん。
うっかり長塚くん、とか言ってしまいそうな。
いいね、この人。ホントに独特。この人見たいから芝居観に行くか、と思わせるくらいには。
背、高ッ。カラダ、細ッ。顔、小さッ。
今回退役軍人でカラダぼろぼろな役だからビッコ引いて背中歪めて肩の片方がくんと落として哀しそうに消え入りそうに立ってることが多いんだけど。
それでもこんなにスタイルいいのが判るのって怖いよね。芸能人の血ってオソロシイ。
つうか、この人って底の見えない怖さを感じる。
目の奥に、腹の底に抱えてるものが凄そうなのが洩れ出てきてて凄い怖い。
うわぁごめんなさい、あ、あ、ホントすいません俺が悪いんです、俺が悪いんですよね、ホントすいませんもう何と言って謝っていいか…ああもうホントに俺が全部悪いんですよごめんなさい、とか言いながらザックリ迷いも無く相手刺して殺しそうな怖さと言うか…(苦笑)。
目の奥の笑ってなさはガチだよね。。。

舞台プラン。
洞窟でした。防空壕でした。閉じ込められました。
こんなに閉塞感を感じさせられたのも久しぶり。
青山円形劇場自体久しぶりで、すっかり座席配置忘れてたらまんまと最前列用意されてて。
自分の前に他の客の姿が無いから、舞台に引き込まれる強さが半端ない。
息が詰まりそうで大変だった。
ぴちょん、ぴちょんと天井から水が落ちる、ひんやりとした防空壕を完全に劇場という建物の中に作り上げていて、感動した。
ギリギリまで絞った光量と照明の数。
役者が点した蝋燭の火を、自ら吹き消すことで暗転入れていて。凄い好きな手法。
そういう間すら、板の上に立っている役者に委ねる(逆の言い方すれば役者はやんなきゃいけない)演出って、好き。
真剣勝負な感じするので。

好きなセリフ。
伊達さん演じる花岡の。
「銭では、すべてのものは買えんよ。愛だとかね、神さまだとか、そういったもんだ。
 買えん、買えん、わかっているよ。、そいつは。
 しかし、こんでまた、世の中の大概のものは銭で買える。こいつも真理だろう?
 その買えるものを一杯積み上げて見ろ。そいつが神さまになったり愛になったりするよ
 量的な変化が質的変化をひきおこす。」
いや、そう、真理だよね。うん。
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